もう何十年も前の小学生の頃。
学校の催し物、たとえば遠足、発表会、見学会などがあると、
その前日は母は大忙し。私の服つくりにずっとミシンを踏んでいる。
私はそのミシンの音を聞きながら、布団にもぐりこむのだが、
とても心配。明日にはできているのだろうか。
なんか今の調子じゃ、どんなものができるのかさえ見当がつかない。
そんな心配をしながら眠りにつく。
目が覚めると母は徹夜だったらしく、まだごそごそと何かやっている。
もう半べそ状態の私だが、顔を洗っていると、「着て御覧なさい」と
母の声。リメイク品の出来上がりだ。もう小躍りして、服に手を通す。
このときばかりは、母親が魔法使いのように思えるのだ。
ときには母のジャケットが私のジャンバースカートに、
兄の学生服が私の半ズボンに変身…。
ニットのセーターは男兄弟の黒いセーターをほどいて、
赤い毛糸を足して私のセーターにと。
1年のうちに何度こういうことが繰り返されただろうか。
私の着る物は、小学校時代はほとんど母の手つくりのリメイク品だ。
リボンやレースやフリルやししゅうなどのかわいいものは、まったく
ない。どちらかといえば斬新な?デザインのものばかり。
男兄弟の中の女一人だから、服が着まわせないのだ。
新調する余裕もなかった我が家で、
でも何かの折には子供に新しいものを着せたいという思いが強かった
母は、こうして服を作ったり編んだりしてくれたのだ。
だから、この服かわいくないなんて、とてもいえない。
出来上がったものをちょっと恥ずかしげに着ていくわけだ。
すると、担任の先生が「変わっている服ね」と驚く。
そのとき、ちょっぴり優越感を感じながら、
それ以上に恥ずかしくて、緊張していたものだ。
今なら、ずいぶん斬新なものを作ってくれたと自慢できるけど、
そのころはとてもとても。
多分当時は手つくりの服を子供に着せていた親は今より多かったで
あろう。今、手つくりをする親はずいぶんと少ないであろう。
そんな小さい頃の思い出があるせいか、
手つくりの温もりや、リ・ファッションを楽しむことってステキ!
と思えるし、関心がある。
そんなワークショップがまもなく開催されます。
7月4日新宿・文化女子大学
モレシャン氏のお話も聞けますよ〜
詳細はこちらをご覧ください。
リ・ファッション・ワークショップ2009ニュースリリース3.pdf